文字クリ #2 / 文字書き布教のための書き方略説【ブログリレー 4日目】

公開日:2021-08-26T20:04:46.531381+09:00 閲覧数:480

この記事はデジクリブログリレー 4日目の記事です。

はじめに:趣旨

 こんにちは、自分のことをマルチクリエイターだと思いこんでいる18thのイカ爆弾です。#1の方ではそもそもなんで表現方法が文字である必要があるのかについて書いているので、そこに疑問がある場合はそちらもお読みください。こちらの記事では現役デジクリ部員に文字書きが全然見当たらないために競合者がいなければ世界一位理論で自己流の書き方を開陳します。世界にはもっと良い書き方とか天才特有の手順すっとばしとかがあると思いますが、少なくとも自分にとっては良いものなので参考にしてもらえれば幸いです。

 なお、便宜的に「ステップ」として段階を踏むような書き方をしますが、実際にはこのステップ間を移動してブラッシュアップすることも当然あります。なので実際書こうというときには、各ステップに書かれていることが達成できない、と思ってもとりあえずスルーして次のステップに進んでみてください。後から「あっ自分天才じゃん……」って感じのアイデアが思いついてなんとかなります。

ステップ1

 あなたが何か物語を書きたいと思ったとき、あなたの脳内には書きたい場面、もしくはテーマが思い浮かんでいることでしょう。その場面をとにかく明瞭にします。書きたいシーンは味噌汁の出汁、スマブラのスマッシュ攻撃、マリオギャラクシーのスピン、アルトネリコのヒュムノス、ロックのパーカッションみたいなものです。ここがぼやけると全体がぼやけます。とにかく今の自分が考えられる限り最高に「良い」状況を考えましょう。具体例を出すと、救われる瞬間とか心が折れる瞬間とかが割と広く性癖に刺さるんじゃないかなと思います。私は「普段あっけからんとした性格のヒロインがパニックに陥っているとかわいい」みたいなのが好きです。

ステップ2

 書きたいものが定まったら、次はそこに到達するまでの経路を整えます。書きたいシーンはだいたい終盤に来るので、書きたいシーンに到着したときに読者に逃げ道を与えないようにしましょう。救われる瞬間なら救われない方がおかしいように、心が折れる瞬間なら折れないほうがおかしいように作ります。その瞬間において「いや別にこういうことからそうはならんやろ……」と読者に言わせたら負けです。

 具体例からもうちょっと詳述します。ステップ1で書いた私の性癖について、ではあっけからんとした、すなわち割とメンタル強め(とここではする)キャラがどうやったらパニックに陥るかを詰めていきます。まずパニックに陥るとは何でしょうか。物語的には「視野狭窄して恐怖一色に塗りつぶされている状態」とでもすると扱いやすいかと思います。要するに頭の中が(特定の対象に対する、明瞭な)恐怖で埋め尽くされている状態です。そうするためにはどうしたらいいでしょうか。いくつか方法はあるでしょうが、とりあえず心の屋台骨を、換言すれば依存しているものを破壊するのが手っ取り早いです。では依存しているものが破壊されるためにはどうしたらいいか……と考えていき、スタート地点まで帰着させます。

この段階ではまだ粗いプロットを作れれば良いだけなので、前述の説明とは若干矛盾するようですが「ほんまにそうなるか?」はそこまで気にしなくて良いです。ただしボールを蹴れば転がっていく、ぐらいの因果が守られている必要はあります。心理描写となると突然それが困難になったりもするので気をつけましょう(n敗)。

ステップ3

 粗いプロットができたら肉付けを始めます。細々設定を作るのは楽しいものですが、この段階までやらないと設定は活かせません。ニンニクみたいなものですね。

 粗いプロットのそれぞれの段階には、その部分においてなされるべき目的が設定されたはずです。その目的が満たされるためのより細かい部分を詰めていきましょう。詰めることなんか無いやと思うならそれでもいいですが、書いていくうちにそのうち詰めるべきことが見えてくることもあります。一度作ったプロットを壊すこともプロットづくりのうちです。

 同時に伏線とかをばらまいていくのもアリです。私は書きながら配置する派ですが、重要な伏線はこの段階で、というよりは段落の「目的」として配置したりもします。伏線が配置されるなら他の情報も同時に配置することができ、細かい設定などはちょっとした会話に乗せて染み出させたり、地の文の中でしれっと少し示させたりすると良いです。

 ここまでで書きたいシーンより前の部分についてプロットができたので、書きたいところより後ろについても同様にプロットを作ります。なお着地点を作るのはなかなか難しく、私はいっつも「誰やねんこんな後回しにしたん……」と思いながらやっています。うまくまとまらないと画竜点睛を欠くことになるのでここも大事です。

ステップ4

 やっと本文を書きます。正直プロットを書き始めた段階の自分の思考など忘れ去っているに決まっているのでプロットを参照しながら感情を思い出しましょう。私が今書いている文だと20k文字に対してプロット9文(文ブロック)が使われています。

 プロットがあれば、その周辺について何が書かれるべきかは明白なはずです。ただしつなぎや締めまで完璧にプロットを作ってから本文を書くのは結構苦痛なのでステップ3が半分ぐらいできたらもう本文に入ってしまっても良いとも思います。というよりはこれで完璧だろうと思っても本文を書くとどうせ不足が見えます。今書いてるものは進捗半分弱でプロットが2文(文ブロック)増えました。そうこうしているうちに文と殴り合いをして文字を増やしていけば完成です。

終わりに

 細かい部分における表現術についてはこの記事では取り扱いません。そこは個々人の文の個性になるでしょうし、何より私に指導できるほどの文力(ふみぢから)が無いのでご容赦をば。

 この記事を読んで「良い」文を錬成してくれようという気持ちになってくれればそれ以上喜ばしいことはありません。できれば文を公開してからデジクリのどこかにそれを知らせてくれれば読みに行きます。そしてデジクリを文字クリにしてしまいましょう!

ペア記事: #1 / 文字書きの何が嬉しいか

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